「最近睡眠の質が悪い」「眠りが浅い気がする…」と感じる人も多いのではないでしょうか?実際、睡眠中、満足に休めていないと感じる人の割合は、年々増えているのが実情。この記事では、浅い眠りになっているサインをはじめ、睡眠のメカニズムや浅い睡眠の解消方法を解説します。また、睡眠が浅くなる原因について、よくある疑問も解説。睡眠のリズムを整えて健やかな毎日を過ごしたいという方は、ぜひ参考にしてみてください。
目次
睡眠で休養が十分に取れていない人が年々増えている
厚生労働省「平成30年 国民健康・栄養調査結果の概要」によると、睡眠で休養が十分にとれていない人の割合(総数)は、平成24年で16.3%、平成26年で21.7%、平成28年で20.9%、平成29 年で21.9%、平成30年で23.4%であり、年々増加傾向にあることが分かっています。
睡眠は、心身の健康を保つために欠かせないもの。とはいえ、ただ眠れば良いわけではなく、“ぐっすり”眠ることが大切です。「寝ているはずなのに、最近疲れが取れない…」と感じる方は、実は睡眠が浅い状態になっているのかもしれません。これを機に、自身の睡眠の質について振り返ってみましょう。
睡眠が浅いと判断できる状態とは?
睡眠の深さを可視化するためには脳波測定が必要になるため、日常生活を送る中で「自身の睡眠は浅い」とはっきり分かっている方は少ないでしょう。ここでは、睡眠が浅くなっている可能性のあるサインについて解説します。あくまで定性的な指標ではありますが、自身の眠りについて課題を感じていて、かつ当てはまるものがある方は、改めて睡眠の質の改善を意識してみてください。
寝ているはずなのに日中に眠気を感じる
十分な睡眠時間を確保しているのにも関わらず、日中に強い眠気を感じる場合は、浅い睡眠になっている可能性があります。睡眠中に分泌される成長ホルモンは細胞の修復や疲労回復を促す働きをしますが、浅い睡眠では十分に成長ホルモンが分泌されず、結果翌日まで疲労が残ってしまうことになります。
よく夜中に目が覚める
ぐっすり眠れていれば夜中に目が覚めることはありませんが、睡眠が浅い場合は外の音や温度の変化、寝返りなどわずかな刺激でも目が覚めやすくなってしまいます。目が覚めやすくなってしまう理由については、「睡眠のメカニズムと浅い眠りについて」の項で詳しく解説するので、そちらもチェックしてみてください。
朝の目覚めが悪い
「しっかり寝ているはずなのに、朝すっきり起きられない」という方や、目が覚めてから行動に移すまでに時間がかかってしまうという方は、睡眠の浅さが原因かもしれません。先述の通り、睡眠中は体の修復が行われていますが、回復が十分でないと体は「まだ休むべき」と判断します。また、睡眠は体だけではなく心の休息にも関わる大切な習慣。いつもの睡眠では回復しきれないほどのストレスを、知らず知らずのうちに抱えている可能性もあります。
睡眠のメカニズムと浅い眠りについて
眠りにはもともと「浅い睡眠=レム睡眠」と「深い睡眠=ノンレム睡眠」の2種類があり、入眠から目覚めまで交互に複数回繰り返されます。ノンレム睡眠にもレベルがあり、入眠直後に最も深いノンレム睡眠になり、目覚めが近くなるにつれて浅いノンレム睡眠が増えていくのが通常です。
睡眠が浅い人の場合、この深いノンレム睡眠が十分に現れず、本人は眠っているつもりでも体は常に覚醒の準備をしている状態に。そのため、夜中に目が覚めやすくなったり、熟睡感が得られなかったりすることにつながります。
参考:厚生労働省 e-ヘルスネット 眠りのメカニズム
睡眠が浅い状態を解消する方法
「もしかしたら睡眠が浅いのかもしれない…」と感じた方は、無意識に睡眠が浅くなってしまう生活を送っている可能性があります。寝る前にスマホを使う習慣はありませんか?ここでは、睡眠のリズムを整える方法について詳しく解説します。
寝る前のカフェイン摂取・飲酒・喫煙は控える
寝る前にカフェインの含まれる飲み物を飲んだり、飲酒・喫煙をしたりすることは、浅い睡眠につながると言われているので避けたほうが無難です。
カフェインや煙草に含まれるニコチンは覚醒作用があり、深い睡眠に入りにくくなってしまいます。また、飲酒についてはスムーズに入眠ができるイメージを持っている方も多いかもしれませんが、アルコールは睡眠のリズムを乱すと言われており、飲むと深く寝られない状態に。
カフェインの摂取は就寝の3〜4時間ほど前までに、喫煙は1〜2時間ほど前までに済ませ、飲酒をする場合は深酒をせず嗜む程度に留めておきましょう。
就寝1時間ほど前にはスマホやパソコンを見ないようにする
寝る前にスマホやパソコン、テレビの画面を見るのは控えましょう。スマホやパソコンの画面から発せられるブルーライトは太陽光にも含まれる光のため、脳が日中と錯覚を起こして深く眠りにくくなってしまう原因になります。
就寝の1時間ほど前にはブルーライトを発する電子機器の電源を切るなどして、脳が覚醒しないようにすることが大切です。
寝室は適度に静かな環境にする
睡眠中は、ささやき声程度の音でも覚醒してしまうと言われているため、寝室は静かな環境を保つようにしましょう。反対に、全くの無音もかえって神経が敏感になり覚醒しやすくなると言われているので、適度に静かな環境づくりを試みましょう。
参考:厚生労働省 健康づくりのための睡眠指針 2014
寝具やパジャマの調整をする
睡眠のリズムを整えるにあたって、寝具が自身の体や季節に合っているかどうかも需要です。枕の高さが合っていなかったり、寝返りのしにくい布団であったりする場合、体は十分に休めません。また、睡眠中の温度も眠りの質に影響すると言われているため、寝具を加味した室温に調整をしたり、季節に合ったパジャマを着用するようにしましょう。
参考:厚生労働省 健康づくりのための睡眠指針 2014
浅い睡眠に関する5つのよくある質問
ここでは、浅い眠りに関するよくある疑問について解説します。夢を見る頻度と睡眠の深さの関係や、筋トレやダイエットが与える睡眠への影響などについて解説するので、睡眠の質を改善するための参考にしてみてください。
Q1.夢をよく見るのは睡眠が浅いから?
A1.いいえ。夢の頻度と睡眠の質はあまり関係がないとされています。翌日まで覚えているような夢を見ているのは浅い眠り(=レム睡眠)のタイミングだとされていますが、「睡眠のメカニズムと浅い眠りについて」の項でも解説した通り、レム睡眠は質の良い睡眠が取れていても出現するもの。日中に強い眠気を感じたり、疲労感がいつまでも回復しないような状態でない限り、問題ないと判断して良いでしょう。
Q2.空腹は睡眠を浅くする?
A2.はい。何も食べずに眠りにつくと、空腹感が気になってしまいなかなか寝付けない状態になることもあるため、あまりおすすめしません。一方で、満腹状態も体が消化を優先してしまうため、浅い睡眠の原因になり得ます。夕飯は就寝の3時間ほど前に済ませ、かつ消化の良いメニューにするのが理想的です。
Q3.糖質制限中は浅い睡眠になるのは本当?
A3.本当です。低血糖状態は、眠りの質を低下させると言われているため、睡眠リズムの改善を行う際は糖質を極端に減らすことは避けましょう。過度な糖質制限は、体内のリズムも乱す可能性も示唆されているので、自身の体調と相談しながら、適度に実行するようにしてください。
Q4.筋トレも睡眠を浅くする原因になる?
A4.なります。激しいトレーニングはアドレナリンが放出され交感神経優位になるため、体が覚醒状態になってしまいます。筋トレを行う場合は就寝の1〜2時間程度前までに済ませましょう。ストレッチや軽い運動であれば、ストレス解消やリラックス効果があるため、睡眠の質の改善にも有効だと言われています。
Q5.生理前は浅い睡眠が多くなる?
A5.はい。厚生労働省の提供するe-ヘルスネット「女性の睡眠障害」でも言及されている通り、生理前は睡眠が浅くなると考えられています。月経周期に伴う女性ホルモンの分泌の変化により体温も変動し、体内リズムが乱れやすくなってしまうのが原因。月経前はできるだけメリハリのある生活を意識しつつ、できるだけストレスを溜めないよう過ごすのがおすすめです。